ストーリー

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 アルゼンチンの田舎、トゥクマン州ポソ・オンドの村には奇妙な信仰があった。 1970年代のある日、ヘリコプターから村に落とされた身元不明の死体を、村人たちが丁重に葬ったところ、その死体が奇跡を起こすというのだ。 こうして、時を経て、謎の死体は聖人として村人に御利益を与える、村の重要な存在となっていた。

 40年の時が経ち、軍事政権時代にアルゼンチンで起こった、軍による反対派の虐殺や粛正が明らかになるとともに、問題の死体にも調査が及ぶ。 しかし、調査に向かった法医学者たちが直面したのは、「聖人」として祀られ、崇められている死体を掘り起こすという、ありえない事態だった。

そのような状況のもと、DNA鑑定によって、死者の本名が判明した。そして、家族があったことも。

 平凡な農夫だったはずの彼が、なぜ、顔と指を焼かれてヘリコプターから落とされたのか?

 残された家族になにが起こったのか?

 そして村人はなぜ、身元不明の死体を丁重に祀ったのか?

 そもそも奇跡は存在したのか?

 やがて、驚くべき真相が、次々に明らかになっていくのだった。

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